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東京地方裁判所 平成5年(ワ)24523号 判決 1998年5月29日

東京都江東区東砂八丁目七番一一号

原告

合資会社竹内技研製作所

右代表者無限責任社員

竹内永一

右訴訟代理人弁護士

秋吉稔弘

右補佐人弁理士

瀧野秀雄

福井県武生市家久町六三号一番地

被告

小野谷機工株式会社

右代表者代表取締役

三村義雄

右訴訟代理人弁護士

安原正之

佐藤治隆

小林郁夫

右補佐人弁理士

平崎彦治

主文

一  被告は、別紙第一目録及び第二目録記載のノーパンクタイヤチェンジャーを製造、販売してはならない。

二  被告は、現に保管中の前項各記載のノーパンクタイヤチェンジャー、その半製品(各ノーパンクタイヤチェンジャーの組立中の製品)及びその組立部品(各ノーパンクタイヤチェンジャーのみに使用する組立部品)を廃棄せよ。

三  被告は、原告に対し、一五七五万五六八一円及びこれに対する平成一〇年一月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告のその余の請求を棄却する。

五  訴訟費用は、これを三分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

六  この判決は、原告勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  請求

一  主文第一項、第二項同旨。

二  被告は、原告に対し、四三七二万五〇〇〇円及びこれに対する平成一〇年一月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

一  本件は、原告が、後記二1の実用新案権に基づき、別紙第一目録及び第二目録記載のノーパンクタイヤチェンジャー(以下、別紙第一目録記載のノーパンクタイヤチェンジャーを「イ号装置」といい、第二目録記載のノーパンクタイヤチェンジャーを「ロ号装置」という。)を業として製造販売する被告に対し、イ号装置及びロ号装置の製造販売が右実用新案権を侵害するものとして、イ号装置及びロ号装置の製造販売の差止め並びにイ号装置、ロ号装置、それらの半製品及びそれらの部品の廃棄を求めるとともに、不法行為による損害賠償としての損害金及びこれに対する不法行為の後である平成一〇年一月一七日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

二  争いのない事実等

1  原告は、次の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という。)を有する。

実用新案登録番号 第一九七三七五四号

考案の名称 タイヤの着脱装置

出願年月日 昭和五九年七月六日

出願公告年月日 平成四年九月一日

登録年月日 平成五年七月一四日

2  本件考案の実用新案登録出願の願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の記載は、本判決添付の実用新案公報(以下「本件公報」という。)の該当欄記載のとおりである。

3  本件考案の構成要件を分説すれば、次のとおりである。

(1) 中央の開口を形成し、タイヤとホイールとの着脱に際しての載置基準面となるベース本体と、

(2) 前記ベース本体の載置基準面の下面側に固定されたシリンダと、

(3) 該シリンダからベース本体の前記中央の開口を貫通して上方に伸びるピストンと、

(4) 該ピストンに対して伸縮自在に且つ係止可能に取付けられるセット螺杆とからなる駆動部と、

(5) ベース本体の載置基準面に配置され、ホイールを支承し、径が長短異径の少なくとも二種類の支持リングと、

(6) 前記セット螺杆の端部に係止され、タイヤを加圧する着脱リングとを備え、

(7) ベース本体の前記載置基準面側に押圧力を与えてタイヤとホイールとの着脱を行わせることを特徴とする

(8) タイヤの着脱装置

(以下、本件考案の構成要件は、例えば「構成要件(1)」のように、番号により特定して記載する。)

4  被告は、業として、イ号装置及びロ号装置を、本件実用新案権の出願公告日である平成四年九月一日から現在まで製造販売している。

5(一)  イ号装置の構成を分説すると、次のとおりである(記号、番号は、別紙第一目録に記載のものを指す。)

A 中央に開口を形成し、載置面4を有するベース本体3と、

B 該ベース本体3内のシリンダ5と、

C 該シリンダ5からベース本体3の開口及び載置面4の中央を貫通させて設けたピストン1と、

D 該ピストン1に対し手動により伸縮自在に且つ係止可能に取り付けられるセット螺杆2により構成される駆動部を備える。

E 円筒リング6は、第4図のように、A、B、C、D記載の形状のものがあり、更にC記載形状のものはサイズが異なる大小二種類存在するので、合計五種類ある。

なお円筒リング6は、各種類ともタイヤ着脱の際載置面4上に設置してホイールを支承して使用する場合と、タイヤとプレッシャープレート8の中間に設置して使用する場合の二通りがあるが、更に円筒リング6のうちCタイプはタイヤの径に合わせて上下リバーシブルに使用できるようになっている。

F また圧入リング7には、第5図のようにE、F記載の形状のものがあり、更にE、F記載の形状のものは各々サイズの異なる大小二種類存するので合計四種類あるが、各種類ともタイヤとプレッシャープレート8の中間にのみ設置して使用する。

圧入リング7は、各種とも上部にロックナット9を通過させる通孔10を設けた構成となっている。

またプレッシャープレート8は、その中央部に開口部11を設けた構成である。

G ベース本体3の載置面4側に押圧力を与えてタイヤとホイールとの着脱を行う。

H ノーパンクタイヤチェンジャーである。

(以下、イ号装置の構成は、例えば「構成A」のように、記号により特定して記載する。)

(二)  ロ号装置の構成を分説すると、次のとおりである(記号、番号は、別紙第二目録に記載のものを指す。)

a 中央に開口を形成し、載置面4を有するベース本体3と、

b 該ベース本体3内のシリンダ5と、

c 該シリンダ5からベース本体3の開口及び載置面4の中央を貫通させて設けたピストン1と、

d 該ピストン1に対し油圧により伸縮自在に且つピストン下端の鍔部上側がシリンダ上部の内壁に押し上げられて止まるように取り付けられるセット螺杆2により構成される駆動部を備える。

e 円筒リング6は、第8図のように、A、B、C、D記載の形状のものがあり、更にC記載形状のものはサイズが異なる大小二種類存在するので、合計五種類ある。

なお円筒リング6は、各種類ともタイヤ着脱の際載置面4上に設置してホイールを支承して使用する場合と、タイヤとプレッシャープレート8の中間に設置して使用する場合の二通りがあるが、更に円筒リング6のうちCタイプはタイヤの径に合わせて上下リバーシブルに使用できるようになっている。

f また圧入リング7には、第9図のようにE、F記載の形状のものがあり、更にE、F記載の形状のものは各々サイズの異なる大小二種類存在するので合計四種類あるが、各種類ともタイヤとプレッシャープレート8の中間にのみ設置して使用する。

圧入リング7は、各種とも上部にロックナット9を通過させる通孔10を設けた構成となっている。

またプレッシャープレート8は、その中央部に開口部11を設けた構成である。

g ベース本体3の載置面4側に押圧力を与えてタイヤとホイールとの着脱を行う。

h ノーパンクタイヤチェンジャーである。

(以下、ロ号装置の構成は、例えば「構成a」のように、記号により特定して記載する。)

6(一)  構成AないしD、G、Hは、それぞれ構成要件(1)ないし(4)、(7)、(8)を充足する。

(二)  構成aないしc、g、hは、それぞれ構成要件(1)ないし(3)、(7)、(8)を充足する。

7  本件考案の出願経緯は、次のとおりである。

昭和五九年七月六日、実用新案登録出願(乙第二号証の一)、平成二年六月二六日、拒絶理由通知(乙第二号証の二)、同年八月二三日、手続補正書(乙第二号証の三)提出、同日、意見書(乙第二号証の四)提出、平成三年二月二六日、拒絶査定(乙第二号証の五)、同年三月二九日、拒絶査定不服審判請求、同年四月二六日、手続補正書(乙第二号証の六)提出、同日、審判請求理由補充書(乙第三号証)提出、平成四年六月五日、出願公告決定(乙第二号証の七)。

三  争点

1  構成E、構成eの「円筒リング6」は、構成要件(5)の「ベース本体の載置基準面に配置され、ホイールを支承し、径が長短異径の少なくとも二種類の支持リング」に該当し、構成E、構成eは、構成要件(5)を充足するか。

2  構成F、構成fの「圧入リング7」は、構成要件(6)の「セット螺杆の端部に係止され、タイヤを加圧する着脱リング」に該当し、構成F、構成fは、構成要件(6)を充足するか。

3  構成dの「ピストン1に対し油圧により伸縮自在に且つピストン下端の鍔部上側がシリンダ上部の内壁に押し上げられて止まるように取り付けられるセット螺杆2」は、構成要件(4)の「ピストンに対して伸縮自在に且つ係止可能に取付けられるセット螺杆」に該当し、構成dは、構成要件(4)を充足するか。

4  ロ号装置は、本件考案と均等であるか。

5  原告が、被告のイ号装置及びロ号装置の製造販売により被った損害額はいくらか。

四  争点に関する当事者の主張

1  争点1について

(一) 原告の主張

構成E、構成eの円筒リング6は、載置面4上に設置してホイールを支承して使用され、異なるサイズを有するタイヤ及びホイールに適するように合計四種類存在するので、構成要件(5)の「ベース本体の載置基準面に配置され、ホイールを支承し、径が長短異径の少なくとも二種類の支持リング」に該当し、構成E、構成eは、構成要件(5)を充足する。

(二) 被告の主張

構成要件(5)の支持リングは、円筒状の形態でなければならない上、径及び長さが異なる二種類以上のものがなければならず、また、タイヤの取外しを行うときと取付けを行うときとで、少なくとも異なる二種類のものを使用しなければならない。

これに対し、構成E、構成eの円筒リング6である別紙第一目録第4図、第二目録第8図記載の円筒リングのうち、A、Dは、側面に開口部を設けているので、円筒状ではないし、Cは、円錐形状であり、円筒状ではない。また、円筒リングCは、上下の径が異なるので、タイヤの取付け時及び取外し時のいずれの場合も使用することができ、円筒リングCを使用するときは、一個の円筒リングで間に合うことになる。

したがって、構成E、構成eの円筒リング6は、径が長短異径の円筒状のリングが二種類以上存するとはいえないから、構成要件(5)のうち「径が長短異径の少なくとも二種類の支持リング」との部分を充足しない。

2  争点2について

(一) 原告の主張

構成F、構成fの圧入リング7は、ロックナット9によってセット螺杆2の端部に係止され、タイヤを加圧するものであるから、構成要件(6)の「セット螺杆の端部に係止され、タイヤを加圧する着脱リング」に該当し、構成F、構成fは、構成要件(6)を充足する。

圧入リング7は、上部にロックナット9を通過させる通孔10を設けた構成となっているが、通孔10はロックナット9をセット螺杆2から外すことなしに簡単に装着するためのものである。また、イ号装置及びロ号装置においては、ロックナット9の長尺部分が圧入リングの通孔10の短尺部分に跨るようにしてねじ止めしても足りるのであるが、ナットを保護するとともにタイヤに対してより均一の圧力を加えるために、プレッシャープレート8を用いている。このように、通孔10もプレッシャープレート8も本件考案に対する付加的なものであって、圧入リング7が、構成要件(6)の「セット螺杆の端部に係止され、タイヤを加圧する着脱リング」に該当するとの結論を左右するものではない。

(二) 被告の主張

(1) 構成F、構成fの圧入リング7は、上部に通孔10が設けられており、この通孔10はロックナット9が通過するような大きさであるため、セット螺杆2は圧入リング7の通孔10を貫通するのみで、圧入リング7と接することがないから、圧入リング7はセット螺杆に係止しておらず、構成F、構成fは、構成要件(6)のうち「セット螺杆の端部に係止され」との部分を充足しない。

(2) 構成F、構成fの圧入リング7は、同圧入リングの通孔にセット螺杆を貫通させたのみではタイヤを加圧することはできず、同圧入リングの上にプレッシャープレート8を載せ、更にロックナット9をねじ止めしてからでないとタイヤを加圧することができない。したがって、加圧は、圧入リングではなく、ロックナットが行っているといえるから、圧入リング7は、タイヤを加圧するものではなく、構成F、構成fは、構成要件(6)のうち「タイヤを加圧する」との部分も充足しない。

3  争点3について

(一) 原告の主張

構成要件(4)は、「ピストンに対して伸縮自在に且つ係止可能に取り付けられるセット螺杆」というものであり、伸縮自在にし又は係止可能にする手段方法は明記されていないこと、「係止」とは、「かかわり合って止めること」という状態を言い表していることからすると、係止手段は、本件公報に実施例として記載された機械的係止手段に限られるものではなく、セット螺杆がピストンとの関係において伸縮自在に且つ係止可能であるように取り付けられていれば、構成要件(4)を充足するものと解すべきである。

ロ号装置の構成dのようにセット螺杆2の鍔部上側が油圧によりピストン1の内壁に押し上げられて止まるような場合も、まさにセット螺杆とピストンとがかかわり合って止まることに変わりがないから、構成要件(4)は、ロ号装置のような油圧による係止手段を包含するものである。

したがって、構成dは、構成要件(4)を充足する。

(二) 被告の主張

(1) 本件公報には、「また該ピストン5内に挿入された前記セット螺杆6は、シリンダ4の駆動によりピストン5が加圧されたり、減圧されるとピストン5と一体に昇降自在になるが、手動操作によりピストン5に対して単独に伸縮自在となり、上昇させた場合に、例えば水平方向に90度回転させることにより、周側面に設けたスピイル6aがピストン5の上面に係合することにより、セット螺杆6の落下は防止される。」(本件公報第五欄八行ないし一六行)という記載や「さらにピストン5に対してセット螺杆6を上昇させてから90度回転させることにより、セット螺杆6の周側面に設けたスピイル6aの下面をピストン5の上面に係止させて、セット螺杆6が上昇状態のまま、降下しないようにしておくと」(本件公報第五欄三六行ないし四一行)という記載がある。

また、本件公報には、「この場合、略円筒状に形成されるベース本体3の上には略中心にシリンダ4のピストン5と、その内部にはセット螺杆6が手動操作によって昇降可能に位置するだけであり、またベース本体3の周囲には軸組としての柱等の障害物が存在せずに広い作業スペースを確保できるから、周囲に如何なる方向から作業しても迅速且つ確実にタイヤ1の着脱が行なえる」(本件公報第六欄三六行ないし四三行)と記載されており、その内容は、本件考案が解決しようとする課題(本件公報第三欄一行ないし九行)及び本件考案の作用効果ともなっているほか、「手動操作で単独に該ピストン5に対して伸縮自在にピストン5の内部に挿入され且つピストン5に係合可能な係止手段としてのスピイル6a」(本件公報第四欄一一行ないし一四行)という記載もある。

これらの本件公報の記載からすると、本件考案の「係止可能に取付けられたセット螺杆」は、油圧を駆動源とするピストンとは異なり、手動によって動くもので、セット螺杆を上昇させたままの状態でセット螺杆から手を離すとセット螺杆は落下してしまうので、セット螺杆の側面長さ方向に沿って係止部であるスピイルを設け、上昇させたセット螺杆を真横に九〇度回転させて、セット螺杆の側面長さ方向に設けたスピイルの下面を、ピストンの上面に係合させるような構造を有するものを意味している。

(2) 実用新案登録願において、実用新案登録請求の範囲には、「該シリンダのピストン部分」という文言があったが、セット螺杆は記載されておらず、実施例においては、「また該ピストン5内に挿入された前記セット螺杆6は、ピストン5が加圧されたり、減圧されるとピストン5と一体に昇降自在になるが、手動操作によりピストン5に対して単独に昇降自在となり、上昇させた場合に、例えば90度回転させることにより周側面に設けたスピイル6aがシリンダ5の上面に係合することにより、落下は防止される」(乙第二号証の一、四頁七行ないし一四行)と記載されていた。右記載から明らかなように、セット螺杆は、ピストンが加圧されたり減圧されたりすると、ピストンと一緒に昇降するが、この動きとは別に、ピストンに対して手動により単独に昇降自在に動かすことができるため、このセット螺杆の落下防止のための係止手段として、セット螺杆の周側面にスピイルを設けている。

平成二年八月二三日受付の手続補正書(乙第二号証の三)の実用新案登録請求の範囲には、「該シリンダの作動により移動し、ベース本体の略中心を貫通して上方に伸びるピストン部分と」と記載されている。この記載から明らかなように、シリンダの油圧により動くのはピストンのみであり、セット螺杆は手動操作で単独に昇降自在に動くものである。

原告は、平成三年四月二六日受付の手続補正書(乙第二号証の六)において、平成二年八月二三日受付の手続補正書で補正した実用新案登録請求の範囲の「ベース本体の略中心を貫通して上方に伸びるピストン部分と」という部分を、「該シリンダからベース本体の前記中央の開口を貫通して上方に伸びるピストンと、該ピストンに対して伸縮自在に且つ係止可能に取付けられるセット螺杆とからなる駆動部と」と補正したが、右にいうセット螺杆は、当然、ピストンに対して手動で動かすことが技術思想として前提となっているものである。

以上のような出願の経緯からしても、本件考案の「係止可能に取付けられたセット螺杆」は、右(1)のように解すべきである。

(3) 構成dのセット螺杆は、手動で伸縮自在に上下することはなく、油圧のみにより上下され、セット螺杆を油圧によって上昇又は下降させて停止するためには、所望の位置で油圧作動を停止させるだけでよく、セット螺杆の周側面にスピイルのような係止手段を設ける必要がないから、構成dは、構成要件(4)の「該ピストンに対して伸縮自在に且つ係止可能に取り付けられるセット螺杆」という構成を充足していない。

(4) 係止とは、二つの部材が互いにかかわり合うことにより、一方の部材を他方の部材に止めることである。本件公報においても、着脱リングがセット螺杆の端部に止まる相互の関係(実施例ではナットの螺合による係止)及びセット螺杆がピストンに止まる相互の関係(実施例ではセット螺杆に設けたスピイルによるピストンの上面への係止)をいずれも係止と表現している。すなわち、二つの部材の存在を前提として、一方の部材であるセット螺杆の端部又はピストンが、係止される部材である着脱リング又はセット螺杆を支持している関係が係止である。本件考案以外の実用新案においても、係止とは、このような意味で用いられている。したがって、本件考案の係止は、いずれも、「着脱リングとセット螺杆の端部」又は「ピストンとセット螺杆」というように二つの部材による機械的なかかわり合いを指す公知の技術である。

これに対し、油圧によれば、本件公報にも記載されているように、シリンダの内室を加圧又は減圧することによりピストンを上下することができるし、また、加圧又は減圧を中止することによりピストンを任意の位置で停止することができる。このように、油圧は、二つの部材が互いにかかわり合う関係にはないため、油圧によるピストンの停止について係止という表現はしない。本件公報においても、ピストンについては、上昇又は下降という表現を用いているが、係止という表現は用いていない。また、原告出願に係る実用新案公報(実公昭六三-四九三六一、乙第七号証)は、横棒と突起部との関係を係止と表現しているが、加圧シリンダーとピストン柱との関係は上昇又は下降と表現しており、係止という表現はしていない。一般的にも、油圧においてシリンダを任意の位置に止めることは、係止ではなく停止という表現を用いている。

このように、油圧については、係止という表現を用いることはないのであり、油圧のみによって上下する構成dのセット螺杆が、係止することはない。

(5) ロ号装置においても、セット螺杆2の下部に設けた抜け防止係合鍔(本件考案の6cに該当する。)が、ピストン1の上面に対向する下面に係合しているが、これは、セット螺杆がピストンから抜け出してしまうのを防止するための構成であり、通常のピストンにおけるシリンダーとピストンロッドとの関係であるから、この係合は、本件考案にいう「係止」には該当しない。

仮に、セット螺杆の抜け防止用係合鍔がピストン下面に当たることを係止と称しているとすれば、本件考案において、セット螺杆の落下防止のためにスピイル6aがピストン上面に当たることは、クレームに何ら記載されていないことになってしまう。これでは、セット螺杆が落下するか又はタイヤをセットする間、常にセット螺杆が落ちないように手で持ち上げていなければならないことになり、タイヤ着脱の準備作業(セッテイング)は、実際上不可能である。

4  争点4について

(一) 原告の主張

(1) 従来用いられてきたノーパンクタイヤの着脱装置は、大型の据え付け式のものが多く、可搬式のものも操作性と出力に劣るものであったので、本件考案は、これらを解決すべき技術的課題とし、セット螺杆をピストンに対し伸縮自在とし、全体を小型に構成することにより搬送を容易にし、合わせて圧力源としてのシリンダを、タイヤとホイールとの着脱に際しての載置面となるベース本体の下面に固定することによって、タイヤ、ホイールと駆動部との位置決めを容易とし、小型の割りに高出力を発揮するようにしてタイヤの着脱の作業効率の向上を図ったものである。

イ号装置及びロ号装置の技術的課題、技術的思想は、右に述べた本件考案の技術的課題、技術的思想と変わるところはない。

(2) 本件考案の伸縮部材(駆動部)は、本件公報第1図ないし第3図に示すように、シリンダ4、シリンダ4に装着されたピストン5、ピストン5に伸縮自在に且つ係止可能に取り付けられたセット螺杆6とからなる。ところで、本件考案の伸縮部材(駆動部)のように上下運動するものに油圧を用いることは、本件考案出願前に刊行された文献にも記載されているように、容易に思いつくところである。また、比較的長いストロークを必要としたり、シリンダの収縮時の長さを短くしたいときに、多段シリンダ(「テレスコピックシリンダ」ともいう。)を用いることも、本件考案出願前に刊行された文献に記載されている。そこで、本件考案において、ピストン5の筒状部に一本の油道を設けてピストン5にシリンダ4の役目をさせるように改造し、シリンダ4、セット螺杆6はそのままで、本件考案を、その目的を同一にする多段シリンダを用いたものに置換することは、機械の知識を有する者ならば極めて容易になし得る。

(3) したがって、ロ号装置は、解決すべき技術的課題及びその基礎となる技術的思想において本件考案と変わるところがなく、ロ号装置は、本件考案の奏する中核的作用効果を奏するものである上、セット螺杆を油圧駆動に置換することは可能であり且つ容易であると認められるから、ロ号装置は、本件考案と均等である。

(二) 被告の主張

(1) 本件考案のセット螺杆を持ち上げた位置で止めるには、別途係止手段が必要であり、本件考案は、セット螺杆をピストンに係止する手段としてスピイルを採用しているものである。これに対し、ロ号装置のセット螺杆は、ピストンをシリンダとして活用しているため、ピストン内の油量の調節によりセット螺杆は昇降し、油圧により任意の位置で停止するので、特別に係止するため係止手段が不要である。

本件考案の手動式のセット螺杆は、重さが約一五キログラムあるため、手動で反復して昇降させるには、それなりの力を要する上、本件考案の場合、支持リング、着脱リング、ホイール等をセットする前にセット螺杆を上昇させておく必要があるので、重い各リング、ホイール等を高く持ち上げる作業が不可欠である。これに対し、ロ号装置のセット螺杆は、油圧式であるから、セット螺杆を昇降させる力は不要であり、また、支持リング、着脱リング、ホイール等をセットした後にセット螺杆を上昇させることができるので、重量のある支持リング、着脱リング、ホイール等を高く持ち上げることが不要である。以上のとおり、セット螺杆の操作性及び作業性が異なるので、本件考案とロ号装置は、その作用及び効果を異にすることが明らかである。

このように、手動のセット螺杆を油圧のセット螺杆にすることは、構成が異なるほか、その作用及び効果にも差異があるため、置換可能性があるとはいえない。

(2) 置換可能性があり、且つ置換容易性があるとしても、置換した技術が、本件考案の出願当時公知であったときには均等を主張することができないところ、油圧に関する技術は、本件考案の出願当時公知であったから、ロ号装置について均等を主張することはできない。

(3) したがって、ロ号装置は、本件考案と均等であるということはできない。

5  争点5について

(一) 原告の主張

(1) 被告は、本件実用新案権の出願公告日である平成四年九月一日から平成八年一〇月二三日までの間に、イ号装置六台、ロ号装置三六台の合計四二台を製造販売し、更に、その後、平成九年一二月三一日までにロ号装置一一台を製造販売したから、平成四年九月一日から平成九年一二月三一日までの製造販売台数は、イ号装置六台及びロ号装置四七台の合計五三台である。

イ号装置及びロ号装置の価格は、いずれも一台一六五万円であるから、平成四年九月一日から平成九年一二月三一日までのイ号装置及びロ号装置の売上額の合計は、一六五万円に五三台を乗じた八七四五万円である。

(2) イ号装置及びロ号装置の販売価格に対する純利益の割合は五〇パーセントである。

(3) したがって、イ号装置及びロ号装置の販売による純利益は、右八七四五万円の五〇パーセントに当たる四三七二万五〇〇〇円であるところ、これが、イ号装置及びロ号装置の製造販売によって原告が被った損害であると推定される。

(二) 被告の主張

(1) 平成四年九月一日から平成九年一二月三一日までのイ号装置及びロ号装置の製造販売台数は、イ号装置五台、ロ号装置四八台の合計五三台である。

(2) イ号装置及びロ号装置の平均価格は、一四五万四八〇〇万円であり、これから製造原価一〇四万四四七一円、据付費用五万円及びクレーン装置の利益分一一万八四二七円を差し引いた残額二四万一九〇二円が、販売管理費、販売促進費、運送費用等を別にしたイ号装置及びロ号装置の一台当たりの利益の額である。

第三  当裁判所の判断

一  争点1について

1  構成要件(5)の「ベース本体の載置基準面に配置され、ホイールを支承し、径が長短異径の少なくとも二種類の支持リング」のうち、「径が長短異径」は、その文言や本件公報第四欄二六行ないし三〇行に「この支持リング2は、タイヤ1の大小に応じてホイール8の径に合わせて径が長径なもの及び短径なものといった具合に異径なものを複数個、用意するのが便利である。」と記載されていることからすると、直径が長いものと短いものを意味すると解される。

したがって、右「支持リング」は、ベース本体の載置基準面に配置されてホイールを支承するもので、直径が異なる二種類以上のものがなければならないということができる。しかし、実用新案登録請求の範囲には、支持リングが円筒形状であるとか、二種類以上の支持リングの長さが異ならなければならないといった限定はなく、また、そのように限定して解さなければならない理由も認められないので、右「支持リング」を右のように限定して解することはできない。さらに、被告は、タイヤの取外しを行うときと取付けを行うときとで、少なくとも異なる二種類の支持リングを使用することを要すると主張するが、そのように解さなければならない根拠もない。

2  構成E、構成eの円筒リング6(別紙第一目録第4図、第二目録第8図記載の各リング)は、載置面4上に設置してホイールを支承して使用されるものであるので、これらはすべて、右「支持リング」に該当する。

これらのリングのうち、リングA、リングDの側面に開口部が設けられていること、リングCが円錐形状であること、リングCを使用すると、タイヤの取外しを行うときと取付けを行うときとで一個のリングで間に合うことがあることは、いずれもこれらのリングが右「支持リング」に該当するとの結論を左右するものではない。

そして、右円筒リング6は、イ号装置、ロ号装置のそれぞれについて直径が異なる二種類以上のものが存在する。

3  したがって、構成E、構成eは、構成要件(5)を充足する。

二  争点2について

1  構成要件(6)の「セット螺杆の端部に係止され、タイヤを加圧する着脱リング」の「係止」はかかわり合って止めることを意味すると解される。そして、着脱リングとセット螺杆がどのような関係にあるかを、本件公報の考案の詳細な説明の項に記載された実施例についてみると、「セット螺杆に着脱リングを取付けた後に」(本件公報第三欄三三行ないし三四行)、「該セット螺杆に装着した着脱リングにてタイヤを押圧し」(本件公報第三欄三七行ないし三九行)、「着脱リング7をタイヤ1の上からセット螺杆6に取付ける」(本件公報第五欄三〇行ないし三一行)、「着脱リング7をセット螺杆6に取付ける」(本件公報第五欄三二行)、「支持リング2、ホイール8、タイヤ1の最上部に位置する着脱リング7をセット螺杆6に取付ける」(本件公報第五欄四一行ないし四三行)、「12は前記セット螺杆6の雌ネジ部6bに取付けられるナットであり、前記着脱リング7を前記セット螺杆6に取付けた場合に、着脱リング7の抜け出しを防止するようになっている。」(本件公報第五欄一七行ないし二〇行)と記載されている。これらの記載からすると、右「係止」には、着脱リング7に、セット螺杆6は通過させるがナットは通過させない程度の通孔が設けられており、その着脱リングをセット螺杆に嵌入し、セット螺杆とは別の部材であるナットによって着脱リングの抜出しを防止する構成のものが含まれることは明らかである。

ところで、前記第二の二5の事実に、甲第一一号証、検乙第一、第二号証及び弁論の全趣旨を総合すると、構成F、構成fの圧入リング7の上部には、通孔10が設けられており、通孔10は、セット螺杆2とともにロックナット9を通過させる大きさであり、圧入リング7は、プレッシャープレート8を介してセット螺杆2の先端のねじ部に取り付けられるロックナット9によって、抜出しが防止される構成となっていることが認められる。このように、圧入リング7は、セット螺杆2に嵌入されて、ロックナット9によって圧入リングの抜出しが防止されるような構成になっているのであり、プレッシヤープレート8を用いているが、これは、弁論の全趣旨によると、ナットを保護するとともにタイヤに対してより均一の圧力を加えるためのものであると認められ、付加的な構成にすぎないということができるから、圧入リング7は、「セット螺杆の端部に係止され」ていると認められる。

2  また、イ号装置及びロ号装置は、ロックナット9とプレッシャープレート8によって、圧入リングのセット螺杆からの抜け出しが防止されることにより、ピストン及びセット螺杆を下方に動かそうとする油圧の力が圧入リング7に伝えられ、圧入リング7がタイヤを加圧するものであるから、圧入リング7は、構成要件(6)のうち「タイヤを加圧する」との部分をも充たすというべきである。

3  したがって、構成F、構成fは、構成要件(6)を充足する。

三  争点3について

1  構成要件(4)の「該ピストンに対して伸縮自在に且つ係止可能に取付けられるセット螺杆」のうち、「係止」はかかわり合って止めることを意味すると解される。

2  そして、本件公報には、ピストン5とセット螺杆6との関係について、「上方に伸びるピストン5と、更に手動操作で単独に該ピストン5に対して伸縮自在にピストン5の内部に挿入され且つピストン5に係合可能な係止手段としてのスピイル6aを周側面に設けたセット螺杆6」(本件公報第四欄一〇行ないし一四行)、「また該ピストン5内に挿入された前記セット螺杆6は、シリンダ4の駆動によりピストン5が加圧されたり、減圧されるとピストン5と一体に昇降自在になるが、手動操作によりピストン5に対して単独に伸縮自在となり、上昇させた場合に、例えば水平方向に90度回転させることにより、周側面に設けたスピイル6aがピストン5の上面に係合することにより、セット螺杆6の落下は防止される」(本件公報第五欄八行ないし一六行)、「さらにピストン5に対してセット螺杆6を上昇させてから90度回転させることにより、セット螺杆6の周側面に設けたスピイル6aの下面をピストン5の上面に係止させて、セット螺杆6が上昇状態のまま降下しないようにしておくと」(本件公報第五欄三六行ないし四一行)という記載がある。

右記載によると、右「係止」には、重力によってセット螺杆6が降下しようとしても、セット螺杆6の周側面に設けたスピイル6aの下面とピストン5の上面が係合することにより、セット螺杆6が上昇状態を維持するという状態が含まれることは明らかである。

3  しかし、右の本件公報の記載は、いずれも実施例に関するものであって、実用新案登録請求の範囲には、例えば、「セット螺杆が、ピストンの上面に係止される」というような、右2の場合に限定される旨の記載はない。

その上、本件公報には、係合鍔6cに関する記載として、「6cはセット螺杆6の下面に突設された抜け防止用の係合鍔である。」(本件公報第五欄二〇行ないし二二行)という記載がある。この記載は、セット螺杆6の下面に係合鍔6cが突設されており、それがピストン5上部の内壁に係合することにより、セット螺杆6がピストン5から抜けることが防止されるというものであるが、この場合、セット螺杆6は、ピストン5にかかわり合って止まっているということができる。

したがって、構成要件(4)の「係止」には、右2で述べたようなピストンの上面に係合するもののみならず、セット螺杆がピストン上部の内壁に係合する右のようなものも含まれるというべきである。

4  なお、本件公報には、「この場合、略円筒状に形成されるベース本体3の上には略中心にシリンダ4のピストン5と、その内部にはセット螺杆6が手動操作によって昇降可能に位置するだけであり、またベース本体3の周囲には軸組としての柱等の障害物が存在せずに広い作業スペースを確保できるから、周囲に如何なる方向から作業しても迅速且つ確実にタイヤ1の着脱が行なえる」(本件公報第六欄三六行ないし四三行)と記載されているが、この記載は、実施例についての記載である。本件考案が解決しようとする課題や本件考案の作用効果の部分に、構成要件(4)の「係止」について、右2で述べたようなピストンの上面に機械的に係合するものに限られる旨の記載はない。

また、被告は、本件考案の出願の経緯を述べて、構成要件(4)の「係止」を、右2で述べたようなピストンの上面に機械的に係合するものに限定して解釈すべきであると主張する。しかし、実施例に関する考案の詳細な説明の記載を除いては、本件考案の出願の経緯の中に「係止」という文言を右被告主張のように限定して解釈すべき根拠はなく、本件考案の出願の経緯から、「係止」という文言を右被告主張のように限定して解することはできない。

5(一)  前記第二の二5の事実に、甲第三号証、第四号証、第一一号証、乙第一九号証、検乙第一号証、第二号証及び弁論の全趣旨を総合すると、ロ号装置について、次の事実が認められる。

(1) ロ号装置において、タイヤの着脱は、ピストンの作動又はセット螺杆の伸縮によって行うことができる。

ロ号装置は、一〇〇トンの出力をもち、八ないし二〇インチのノーパンクタイヤの着脱を行うことができるものであるところ、セット螺杆を伸縮させることによって得られる出力は、約四トンにすぎないので、セット螺杆を伸縮させることにより着脱することのできるタイヤの種類は、ごく限られており、多くの場合は、ピストンの作動によってタイヤの着脱を行う必要がある。

(2) ピストンの作動によってタイヤの着脱を行う場合、次のようにして行う。

別紙第二目録の第1図のA矢印方向の油圧がピストン1に送り込まれると、セット螺杆2がピストン1の中を上昇し、同目録第2図のようになる。更にA矢印方向の油圧が送り込まれると、セット螺杆2の下端の鍔部上端がピストン1の上部の内壁と係合してピストン1を上昇させ同目録第3図のようになる。このピストンの上昇(伸長)状態は、タイヤのサイズに適応した適宜の上昇(伸長)状態で油圧の送り込みを停止すると、止まる。

しかる後に、ベース本体の載置基準面4に円筒リング6を置いて、その上にタイヤを置き、タイヤの上に圧入リング7とプレッシャープレート8を置いてロックナット9をねじ締めする。

次いで、タイヤを着脱した後、すべての治具やタイヤを載置基準面4から取り去り、同目録第4図のB矢印方向の油圧がシリンダ5内に送り込まれると、ピストン1は下降を開始し、同目録第5図の状態となり、続いてB矢印方向の油圧が送り込まれると、セット螺杆2がピストン1の中を下降して、同目録第6図のように原位置に復帰する。

(二)  右(一)認定の事実によると、ロ号装置においては、多くの場合、ピストンの作動によってタイヤの着脱が行われ、その際には、セット螺杆は、ピストン内を限界まで上昇し、セット螺杆の下端の鍔部上側が油圧によってピストン上部の内壁に押し上げられて止まり、その状態で、タイヤの着脱が行われ、それが終わると、油圧が送り込まれてピストンが下降するが、ピストンが下降を始めてもセット螺杆の状態は維持され、ピストンが最も下がった位置に至って初めてセット螺杆が下降を始めるものと認められる。

そして、このようにセット螺杆の下端の鍔部上側が油圧によってピストン上部の内壁に押しつけられて止まっている状態は、構成要件(4)の「係止」に当たるということができる。

6  なお、油圧の制御によってピストンをシリンダの中間の任意の位置で止める場合、ピストンは油圧の力により落下しないように支えられており、他の部材とかかわり合って止められているとはいいにくいので、係止と表現せず、停止と表現するのが適切であるともいえる。しかし、ピストンがシリンダの両端のストロークエンドで止められているときには、停止ということもできるが、ピストンとシリンダが機械的なかかわり合いをもっているのであるから、係止ということもできるのであり、停止ということができるとの一事をもって、これを係止ということができないことの根拠とすることはできない。

7  ロ号装置のセット螺杆2は、ピストン1に対して伸縮自在であり、且つ、右認定のとおり、ピストン1に対して係止可能であるから、構成dは、構成要件(4)を充足するものと認められる。

四  以上によれば、争点4について判断するまでもなく、イ号装置及びロ号装置は、いずれも、本件考案の構成要件のすべてを充足し、本件考案の技術的範囲に属するものと認められ、被告によるイ号装置及びロ号装置の製造販売は、原告の本件実用新案権を侵害するものと認められる。

五  争点5について

1  乙第一五号証の一ないし四、第一六号証の一ないし三、第一七号証、第一八号証、第一九号証、第二七号証によると、被告は、本件実用新案権の出願公告日である平成四年九月一日から平成九年一二月三一日までの間に、イ号装置五台及びロ号装置四八台の合計五三台を製造販売したことが認められ、甲第二二号証、第二三号証及び原告代表者尋問の結果のうち、右認定に反する部分は、採用することができない。

2  乙第一九号証及び第二〇号証によると、イ号装置及びロ号装置一台の平均価格が一四六万四九九八円であること、製造原価が一〇四万四四七一円であること、据付設置費用が五万円であることが認められる。そこで、イ号装置又はロ号装置一台の製造販売により被告の得る利益は、平均価格一四六万四九九八円から製造原価一〇四万四四七一円及び据付設置費用五万円を差し引いた残額の三七万〇五二七円以下と認められ、甲第二二号証及び原告代表者尋問の結果のうち、右認定に反する部分は、採用することができない。

被告は、イ号装置又はロ号装置一台の製造販売により被告の得る利益の算出に当たっては、平均価格から製造原価及び据付設置費用の他にクレーン装置の利益分を差し引くことが必要である旨を主張する。しかし、甲第三号証、第四号証、第一一号証、乙第一八号証及び弁論の全趣旨によると、クレーン装置は、イ号装置又はロ号装置による作業に多くの場合必要であるため、イ号装置又はロ号装置と一体として販売されていることが認められるから、クレーン装置もイ号装置又はロ号装置の構成部分として扱われるべきであり、利益の算出に当たっては、クレーン装置の利益分を差し引くべきではない。

3  甲第二二号証、原告代表者尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、被告は、イ号装置及びロ号装置の製造販売に当たって、右の費用のほかに、営業費等の費用を要するものと認められ、その額は、右の各証拠により、一台につき、販売価格の五パーセントに当たる七万三二五〇円と認める。

4  したがって、被告がイ号装置及びロ号装置の製造販売によって得た一台当たりの利益の額は、三七万〇五二七円から七万三二五〇円を差し引いた二九万七二七七円となる。

5  以上によれば、被告がイ号装置及びロ号装置の製造販売により得た利益の額は、一台あたりの利益二九万七二七七円に五三台を乗じた一五七五万五六八一円であると認められ、右利益の額をもって、原告の損害額と推定する。

六  結論

よって、原告の本訴請求は、主文掲記の限度で理由がある。

(裁判長裁判官 森義之 裁判官 榎戸道也 裁判官 中平健)

<19>日本国特許庁(JP) <11>実用新案出願公告

<12>実用新案公報(Y2) 平4-36961

<51>Int.Cl.5B 60 C 25/132 識別記号 庁内整理番号 6929-3D <24><44>公告 平成4年(1992)9月1日

<54>考案の名称 タイヤの着脱装置

審判 平3-6421 <21>実願 昭59-101327 <55>公開 昭61-16903

<22>出願 昭59(1984)7月6日 <43>昭61(1986)1月31日

<72>考案者 竹内永一 東京都江東区東砂8丁目7番11号 合資会社竹内製作所内

<72>考案者 竹内正三 東京都江東区東砂8丁目7番11号 合資会社竹内製作所内

<71>出願人 合資会社 竹内製作所 東京都江東区東砂8丁目7番11号

<74>代理人 弁理士 滝野秀雄

審判の合議体 審判長 五十畑 勉男 審判官 柴田 由郎 審判官 岡田 万里

<56>参考文献 実開 昭56-148905(JP、U)実公 昭45-28402(JP、Y1)

<57>実用新案登録請求の範囲

中央の開口を形成し、タイヤとホイールとの着脱に際しての載置基準面となるベース本体と、前記ベース本体の載置基準面の下面側に固定されたシリンダと、該シリンダからベース本体の前記中央の開口を貫通して上方に伸びるピストンと、該ピストンに対して伸縮自在に且つ係止可能に取付けられるセツト螺杆とからなる駆動部と、ベース本体の載置基準面に配置され、ホイールを支承し、径が長短異径の少なくとも二種類の支持リングと、前記セツト螺杆の端部に係止され、タイヤを加圧する着脱リングとを備え、ベース本体の前記載置基準面側に押圧力を与えてタイヤとホイールとの着脱を行わせることを特徴とするタイヤの着脱装置.

考案の詳細な説明

〔産業上の利用分野〕

本考案は、特に大型パス、トラツク等の空気入りのタイヤ、又はムクタイヤ(全体が合成ゴムで成型されたもの)をホイールに着脱するタイヤの着脱装置に関する.

〔従来の技術〕

従来、この種の空気入りタイヤを対象としたタイヤの着脱装置は大型の静置式のものが多くあつた.

これらの静置式のタイヤの着脱装置はタイヤまたはホイールに圧力を加えるための油圧シリンダ等の圧力発生源を採用するものであり、大型で且つ部品点数が多く、製作費が高くなり、据付のためかなりのスペースを占有するのみならず、不使用時の保守、管理も厄介である.

また前記据付形式(静置式)のタイヤの着脱装置の欠点を解消するような可搬式のタイヤ着脱装置が、例えば実開昭56-148905号公報において開示されているが、これは人手によつて操作するジヤツキ(ボールスクリユジヤツキ)の駆動力を利用して圧力発生源とするものであり、タイヤの着脱に伴うタイヤ、ホイール等の部品に対する駆動部の位置決めが煩雑であり、操作性と出力に劣るので、タイヤの着脱操作が厄介で大量に行うのには不向きであり、作業能率が良くないものであつた.

そして、本出願人は上記据付構造のタイヤ着脱装置の不都合を解決することを意図して先に可搬式のタイヤ着脱装置を案出し、実願昭56-164089号ににより出願済みであるが、この考案は手動によるジヤツキの駆動力により着脱リングをタイヤに対して下向きに動かすことにより、ホイールに対てタイヤの着脱を行うものであるため、タイヤの着脱操作が非能率であつた.しかもジヤツキを圧力発生源として使用するものなので比較的小出力のものであつた.

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は、小型で設置スペースを採ることのない可搬式のタイヤの着脱装置において、圧力発生源としてのシリシダを、タイヤとホイールとの着脱に際しての載置基準面となるベース本体の下面に固定することによつてタイヤ、ホイールと駆動部との位置決めを容易とし、小型のわりに高出力を発揮するようになしてタイヤの着脱の作業効率を向上させることを目的とするものである.

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、前記目的を達成するために、可搬式のタイヤ着脱装置として中央に開口を形成し、タイヤとホイールとの着脱に際しての載置基準面となるベース本体と、前記ベース本体の載置基準面の下面側に固定されたシリンダと、該シリンダからベース本体の前記中央の開口を貫通して上方に伸びるピストンと、該ピストンに対して伸縮自在に且つ係止可能に取付けられたセツト螺杆とからなる駆動部と、ベース本体の載置基準面に載置され、ホイールを支承し、径が長短異径の少なくとも二種類の支持リングと、前記セツト螺杆の端部に係止され、タイヤを加圧する着脱リングとを備え、ベース本体の前記載置基準面側に押圧力を与えてタイヤとホイールとの着脱を行わせることを特徴とするものである.

〔作用〕

ベース本体のベース面部上に設けた支持リングにてホイールを支持し、タイヤの取付時にはこのホイールに対してタイヤを載置するかまたは取外時にはタイヤを反転して載置する。そしてベース本体の載置基準面の下面側に固定されたシリンダのピストンに対して伸縮自在に且つ係止可能に取付けられるセツト螺杆に着脱リングを取付けた後にベース本体の載置基準面に載置された支持リング、ホイール、タイヤの内部の略中心に固定するシリンダの駆動によつてタイヤ等の略中心を貫通するピストンおよびセツト螺杆を降下し、該セツト螺杆に装着した着脱リングにてタイヤを押圧し、ホイールを長短異径の支持リングによつて下方から支持することによりホイールに対してタイヤを着脱する.

〔実施例〕

以下、本考案を図面に従つて一実施例につき説明する.

Aは可搬式のタイヤ着脱装置であり、このタイヤ着脱装置Aは、タイヤ1をホイール8に対して着脱するためにタイヤ1、支持リング2およびホイール8をセツトする載置基準面としてのベース面部3aそ上面に有し、中央に開口を形成する可搬可能なベース本体3と、該ベース本体3の載置基準面の下面側に固定した圧力発生源としてのシリンダ4と、該シリンダ4の駆動により作動し、載置基準面としてのベース本体3の前記中央の開口を伸縮自在に貫通し、上方に伸びるピストン5と、さらに手動操作で単独に該ピストン5に対して伸縮自在にピスン5の内部に挿入され且つピストン5に係合可能な係止手段としてのスピイル6a周側面に設けたセツト螺杆6とから形成される駆動部と、該セツト螺杆6の端部に着脱自在に係止される着脱リング7とから成り、前記シリンダ4の駆動よるピストン5の降下時の押圧力(引張力)により前記タイヤ7を着脱リング7にてベース本体3の前記載置基準面としての前記ベース面部3a側に加圧するようになつている。

前記支持リング2は円筒状をなし、タイヤ1のホイール8の下縁を前記ピストン5部分を略中心として略同心円的に支持するものであり、図の場合、ベース本体3上にボルト等を用いて着脱自在に固定しても良いし、またはこのように固定せずに単独で載置するようになして良い.この支持リング2は、タイヤ1の大小に応じてホイール8の径に合わせて径が長径なもの及び短径なものといつた具合に異径なものを複数個、用意するのが便利である.

第1図および第2図に示す如く、ホイール8に対するタイヤ1の取付時には支持リング2は長径のものを使用してホイール8の周壁8aの下縁の鍔部8bをピストン5を略中心として支持するようになつているが、第3図の如くホイール8に対してタイヤ1の取外(取脱)時には支持リング2’はタイヤ1が第1図および第2図に示す状態から反転されてホイール8の周壁8aの内径より小径なものを使用し、ホイール8の上面(図において下面)の膨出部8cを支持するようになつている.

前記着脱リング7は、略円筒状であり、その周壁8aの内部には直径方向に交叉して例えば2条の梁7b、7bが張設されている.

前記ピストン5は、下端にパツキング9を有する環状の支持部10を固着し、そしてベース本体3内に内蔵するように載置基準面としてのベース面部3aの下面に固定したシリンダ4の収容穴4a内に前記支持部10と前記開口を有しベース面部3aに固定された支持材11と、パツキング9とを用いて密に摺動自在に支持される.

また該ピストン5内に挿入された前記セツト螺杆6は、シリンダ4の駆動によりピストン5が加圧されたり、減圧されるとピストン5と一体に昇降自在になるが、手動操作によりピストン5に対して単独に伸縮自在となり、上昇させた場合に、例えば水平方向に90°回転させることにより、周側面に設けたスピイル6aがピストン5の上面に係合することにより、セツト螺杆6の落下は防止される.

12は前記セツト螺杆6の雌ネジ部6bに取付けられるナツトであり、前記着脱リング7を前記セツト螺杆6に取付けた場合に、着脱リング7の抜け出しを防止するようになつている.6cはセツト螺杆6の下面に突設された抜け防止用の係合鍔である.

以下、本考案の一実施例を作用効果について説明する.

(イ) タイヤの取付け行程

先ず、第1図に示す如く、ピストン5部分を略中心としてベース本体3の上面の支持リング2に鍔部8bを載せてホイール8をピストン5を略中心にして支持し、次いでホイール8に対してタイヤ1を略同心円的に載置し、さらに着脱リング7をタイヤ1の上からセツト螺杆6に取付ける.この際、着脱リンダ7をセツト螺杆6に取付けるのには、シリンダ4の内室4aを加圧することにより、ベース本体3に対してピストン5を支持リング2、ホイール8、タイヤ1内の略中心位置に上昇させておき、さらにピストン5に対してセツト螺杆6を上昇させてから90°回転させることにより、セツト螺杆6の周側面に設けたスピイル6aの下面をピストン5の上面に係止させて、セツト螺杆6が上昇状態のまま、降下しないようにしておくと、支持リング2、ホイール8、タイヤ1の最上部に位置する著脱リング7をセツト螺杆6に取付けるのに、載置基準面としてのベース本体3のベース而部3aとの間に大きな間隙があくので、支持リング2、ホイール3、タイヤ1、着脱リング7のセツトが容易であるとともにピストン5を中心として支持リング2、タイヤ1等の設置位の調整に便利である.またベース本体3の上の略中心には上昇することにより貫通するシリンダ4のピストン5とその内部にはセツト螺杆6が位置するだけであるから、支持リング2とタイヤ1のセツトに邪魔な部品がベース本体3上および周囲にはないから、セツト作業が円滑に行なえる.

またベース本体3は、そのベース面部3aの下面に圧力発生源としてのシリンダ4を収納しているので、ほどよい所定の高さになり、腰を屈めることなく立つたままの自然の姿勢を維持できる.

またベース本体3に対してクレーン等の運搬具の設置方向の制約を受けることがなく、タイヤ1を如何なる方向からでもベース本体3上に運搬し、セツトできる.

そしてセツト作業が完了してから、シリンダ4内の内室4a内を減圧し、シリンダ4内の外室4b内を加圧することにより、ピストン5とともに支持リング2、その上面に支持するホイール8、タイヤ1、着脱リング7の略中心を貫通していきセツト螺杆6を降下させ、ベース本体3の略中心に位置するピストン5の引張、駆動力をムラなく均一にセツト螺杆6に取付けた着脱リング7に伝達する.而して着脱リング7の下面に肩部でタイヤ1の上面を中心から略等距離の位置において効率良く平均に圧縮、変形させるとともにホイール8は支持リング2により下方より支持することによりホイール8に対するタイヤ1の圧入をすすめ、その後ロツクリング13をホイール8の外鍔部8d内に係止してリング14を重設することにより緩みを防止するようにしてタイヤ1をホイール8に嵌着する.

この場合、略円筒状に形成されるベース本体3の上には略中心にシリンダ4のピストン5と、その内部にはセツト螺杆6が手動操作によつて昇降可能に位置するだけであり、またベース本体3の周囲には軸組としての住等の障害物が存在せずに広い作業スペースを確保できるから、周囲に如何なる方向から作業しても迅速且つ確実にタイヤ1の著脱が行なえる.

また圧力発生源としてのシリンダ4はベース本体3のベース面部3aの下面に固定され、そしてシリンダ4の内室4aを減圧し、外室4bを加圧することによりピストン5とセツト螺杆6とが降下することを利用して着脱リング7を介してベース面部3a上に載置されるタイヤ1に加圧力を付与する構造であるので、装置自体の周囲の軸組構造や圧力発生源としてのシリンダ4の取付個所を補強することがなく、装置が小型のわりにタイヤ1の装着に対して手動のジヤツキ等が比較にならない程の高出力を発揮する.

しかもベース本体3の載置基準面としてのベース面部3a上にタイヤ1、着脱リング7等の作業対象部品をセツトする場合のピストン5の上昇時にシリンダ4には駆動力以外の不要な負荷が加わらない.

(ロ) タイヤの取外し工程

タイヤ1をタイヤのホイール8から取り外す場合には、第3図に示すように、ピストン5、セツト螺杆6を略中心としてベース本体3の上に、小径の支持リング2’を交換して載置する.そしてこの支持リング2’上にタイヤ1を上下逆にすることによつてホイール8の上面(図においては下方の)の膨出部8cを載置させた後に、前記操作と同様にピストン5およびセツト螺杆6を上昇させておき、セツト螺杆6に着脱リング7をセツトする.

そして、図示はしないがロツクリング13、およびリング14をタイヤ1から外した後にシリンダ4の内室4aを減圧し、外室4bを加圧することによりシリンダ4を駆動し、ピストン5とともに支持リング2’、ホイール8、タイヤ1、着脱リング7の略中心に位置し貫通しているセツト螺杆6をシリンダ4の駆動によつて降下させ、着脱リング7にピストン5からの引張力を略同心円的にロスなく効率的に伝達させてその下面の肩部でタイヤ1を路同心円的にムラなく平均的に圧縮、変形させ、ホイール8からタイヤ1を取り外す(第3図参照).ホイール8の取外し後は、ナツト12をセツト螺杆6から螺退した後に、着脱リング7、タイヤ1、ホイール8を取外す.

なお上記実施例においては圧力発生源としてのシリンダ4は油圧形式のものを採用しているが、これに限ることなく空気圧形式のものであつてもよい.

〔考案の効果〕

本考案の構成により、小型で設置スペースを採ることのない可搬式のタイヤ着脱装置において、圧力発生源としてのシリンダを、タイヤとホイールとの着脱に際しての載置基準面となるベース本体の下面に固定することによつてタイヤ、ホイールと駆動部との位置決めを容易になしてセツト作業が容易且つ確実になるとともに小型のわりに高出力を発揮してタイヤの着脱が大量に行え、その作業効率を向上させる効果を有する。

図面の簡単な説明

図面は本考案の一実施例を示し、第1図はタイヤをホイールに取付ける場合の断面図、第2図はホイールにタイヤを取付けた状態の断面図、第3図はホイールからタイヤを取り外す状態の断面図である.

1……タイヤ、2、2’……支持リング、3……ベース本体、4……シリンダ、5……ピストン、6……セツト螺杆、7……着脱リング.

第1図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

第一目録

一、図面の説明

第1図は油圧装置の断面図、第2図はロックナットの平面図及び側面図(寸法の単位はミリメートル)、第3図はプレッシャープレートの斜視図、第4図は各種円筒リングの斜視図、第5図は各種圧入リングの斜視図

二、図面符号の説明

1はピストン、2はセット螺杆、3はベース本体、4は載置面、5はシリンダ、6は円筒リング、7は圧入リング、8はプレッシャープレート、9はロックナット、10は通孔、11は開口部、12はスピイル

三、構造の説明

駆動部は、中央に開口を形成し載置面4を有するベース本体3と、該ベース本体3内にはシリンダ5と該シリンダ5からベース本体3の開口及び載置面4の中央を貫通させて設けたピストン1と、該ピストン1に対し手動により伸縮自在に且係止可能に取り付けられるセット螺杆2により構成されている。

円筒リング6は、第4図のように、A、B、C、D記載の形状のものがあり、さらにC記載形状のものはサイズが異なる大小二種類存するので合計五種類ある。

なお円筒リング6は、各種類共タイヤ着脱の際載置面4上に設置して使用する場合と、タイヤとプレッシャープレート8の中間に設置して使用する場合の二通りがあるが、さらに円筒リング6のうちCタイプはタイヤの径に合わせて上下リバーシブルに使用出来るようになっている。

また圧入リング7には、第5図のようにE、F記載の形状のものがあり、さらにE、F記載の形状のものは各々サイズの異なる大小二種類存するので合計四種類あるが、各種類共タイヤとプレッシャープレート8の中間にのみ設置して使用する。

圧入リング7は、各種とも上部にロックナット9を通過させる通孔10を設けた構成となっている。

またプレッシャープレート8は、その中央部に開口部11を設けた構成である。

第1図

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第2図

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第3図

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第4図

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第5図

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第二目録

一、図面の説明

第1図は油圧装置の断面図、第2図はセット螺杆が油圧により上昇した状熊の油圧装置の断面図、第3図はピストンが油圧により上昇した状態の油圧装置の断面図、第4図はピストンが油圧により下降を始める状態の油圧装置の断面図、第5図は油圧により下降した状熊の油圧装置の断面図、第6図はセット螺杆が油圧により下降した状態の油圧装置の断面図、第7図はプレッシャープレートの斜視図、第8図は各種円筒リングの斜視図、第9図は各種圧入リングの斜視図、第10図はロックナットの平面図及び側面図(寸法の単位はミリメートル)

二、図面符号の説明

1はピストン、2はセット螺杆、3はベース本体、4は載置面、5はシリンダ、6は円筒リング、7は圧入リング、8はプレッシャープレート、9はロックナット、10は通孔、11は開口部

三、構造の説明

駆動部は、中央に開口を形成し載置面4を有するベース本体3と、該ベース本体3内にはシリンダ5と該シリンダ5からベース本体3の開口及び載置面4の中央を貫通させて設けたピストン1と、該ピストン1に対し油圧により伸縮自在に且ピストン下端の鍔部上側がシリンダ上部の内壁に押し上げられて止まるように取り付けられるセット螺杆2により構成されている。

円筒リング6は、第8図のように、A、B、C、D記載の形状のものがあり、さらにC記載の形状のものはサイズが異なる大小二種類存するので合計五種類ある。

なお円筒リング6は、各種類共タイヤ着脱の際載置面4上に設置して使用する場合と、タイヤとプレッシャープレート8の中間に設置して使用する場合の二通りがあるが、さらに円筒リング6のうちCタイプはタイヤの径に合わせて上下リバーシブルに使用出来るようになっている。

また圧入リング7には、第9図のようにE、F記載の形状のものがあり、さらにE、F記載の形状のものは各々サイズの異なる大小二種類存在するので合計四種類あるが、各種類共タイヤとプレッシャープレート8の中間にのみ設置して使用する。

圧入リング7は、各種とも上部にロックナット9を通過させる通孔10を設けた構成となっている。

またプレッシャープレート8は、その中央部に開口部11を設けた構成である。

第1図

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第2図

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第3図

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第4図

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第5図

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第6図

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第7図

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第8図

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第9図

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第10図

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実用新案公報

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